
・TOEIC(トーイック)って何?
・TOEICは何点でどのくらいの英語力?
・就職、昇進、転職で役立つスコアは何点以上?
・TOEICの問題形式ってどんなの?
・TOEICの過去問は公開されてる?
・TOEIC受験の値段は?割引は?
TOEICって聞いたことはあるけどよくわからない、というあなたに、TOEICをイチから解説します。
この記事をよめば、TOEICについて人に説明できるようになります。
(筆者はTOEIC満点です。証拠はこちら。)
目次
TOEICとは何か
TOEICとは、英語力を図るためのテストです。
Test of English for International Communication(国際コミュニケーション英語能力テスト)の略です。
トーイックまたはトイックと読みます。
(トエックと書かれることもたまにありますが、英語の発音に一番近いのは「トイック」です。)
TOEICのスコアは、世界160か国、14,000以上の企業、学校で英語力の指標として利用されています。
<TOEICの種類>
- TOEIC LISTENING & READING
- TOEIC SPEAKING & WRITING
- TOEIC SPEAKING
- TOEIC BRIDGE LISTENING & READING(初級~中級者向け)
- TOEIC BRIDGE SPEAKING & WRITING(初級~中級者向け)
単に「TOEIC」といえば、TOEIC LISTENING & READING(TOEIC L&R)を指します。
TOEIC L&Rは、英語のリスニング力とリーディング力(読解力)を測定するテストです。
ここから先は、もっとも一般的なTOEICテストであるTOEIC L&Rについて説明していきます。
TOEICのスコアと英語力の関係
TOEICは資格試験の一種ですが、
英検と違って、TOEICは合格/不合格という判定をするものではありません。
TOEICテストの結果は、10~990点の5点刻みのスコアで表されます。
筆者は、仕事をする上でいろいろなTOEICスコアを持つ人と接してきました。
筆者の実感に基づくと、TOEICスコアごとの英語力は以下のような感じです。
TOEICスコア | リスニング力 | リーディング力 |
800~990 | 8割以上聞き取れる ほぼ正確に意味を把握できる | 大量の文章でも正確に理解できる 読むスピードが速い |
700~800 | 7割程度聞き取れる だいたいの意味を把握できる | 文章読解力は十分にある 読むスピードはあまり速くない |
500~700 | 60%くらいの英語が聞き取れる 速く話されると厳しい | 長くない文章であれば、意味を理解できる |
300~500 | 簡単な構成の短い文で、スピードが遅ければ理解できる | 単純な構成で、簡単な単語のみからなる文であれば、理解できる |
5~300 | ジェスチャーのない、英語を理解することは難しい | 英文の読解はほぼできない |
※この表は筆者の個人的見解です。
TOEICで測定できるレベル以上に英語ができる人は990点になるため、800~990のスコアを持つ人には、ネイティブレベルに英語ができる人もいれば、そうでない人も含まれます。
実際の英語のコミュニケーションにおいては、
・ジェスチャーや表情が使える
・聞き返すことができる
ので、リスニング力の不足は補えます。
そのため、
・600点を超えていれば、英語でのコミュニケーションで、「詰んだ」状況になることはないです。
・800点を超えていると、かなりスムーズにコミュニケーションできます。
ただ、TOEIC L&Rではスピーキング力は測定しないので、聞き取れる(=TOEICのスコアは高い)けど、英語を話せないという人も日本人には多いです。
話せない場合は、ふつうにコミュニケーションに苦労します。
(筆者が以前そうでした。)
英語を最速で話せるようになる方法についてはこちらに書いています。

TOEICでわかるのはリスニング力とリーディング力だね。
就職や転職で役立つTOEICのスコア目安
TOEICは志望者を選別するツールとして、就職や転職、昇進、海外派遣などの場面で使われています。
新卒の就活で役立つTOEICスコア
海外展開している上場企業であれば、新卒の就活で書いてマイナスにならないスコアは、600点以上です。
国内市場向けの企業であれば、500点以上です。
国際化が進んでいる企業では、もっと高い足切りを設けているところもあります。
例えば、楽天は、社内公用語が英語であり、TOEIC800点以上が入社の条件となっていることは有名です。
転職で役立つTOEICスコア
一流企業といわれる会社への転職では、700点が足切りになっている場合が多いです。
「英語を活かした仕事」といわれるものは、800点で足切りされる場合があります。
昇進で役立つTOEICスコア
TOEICのスコアを昇進やマネージャー登用の条件にしている企業が多数あります。
大体以下のような基準になっています。
・国際的企業は700点以上
・国内市場向けの企業は600点以上
海外派遣・赴任に必要なTOEICスコア
海外派遣・赴任させる社員にTOEICスコアの条件を課している会社がほとんどです。
海外派遣については、850点以上を条件にしている場合が多いです。
TOEICスコアの有効期限は2年?
TOEICスコアには、有効期限はありません。
公式サイトのQ&Aにも、「スコアに有効期限はありません。」と書かれています。
(ただし、TOEIC公式認定証の再発行は、試験日から2年を過ぎるとできなくなります。)
でも、有効期限がないからといって、3年以上前のスコアを履歴書に書くのはおすすめしません。
英語力は変化するからです。
使わないと、英語力は下がります。逆に毎日英語を使えば、英語力は上がります。
そのため、TOEIC受験から3年もたっていれば、
あなたの今の英語力を表しているか怪しい、ということになります。
「3年前にTOEICを受けた後、ずっとアメリカの企業で英語でバリバリ働いてました。」
みたいな状況でない限り、履歴書には2年以内のTOEICスコアを書いた方が無難です。
なお、企業内で、海外赴任や昇進の条件にTOEICの点数を入れている場合、
「TOEICスコアは○年以内に取得したものに限る」というルールを作っているところもあります。
TOEICの過去の問題が公開されない理由
TOEICは他の資格試験と異なり、過去の問題が公開されていません。
問題冊子の持ち帰りも不可です。
過去問が公開されない理由は、一度出した問題を、次回以降のテストで再利用するためです。
問題が再利用されるパターンは、2通りあります。
1.次回以降のTOEIC公開テストに数問混ぜて出題される
2.TOEIC IPテストで再利用される

TOEIC 公開テスト、IPテストって何?
・TOEIC公開テスト
TOEICの運営機関であるIIBC(財団法人国際ビジネスコミュニケーション協会)が自ら運営するTOEICテストです。
年10回(2月、8月を除き毎月)開催されます。
・TOEIC IPテスト
企業や大学などがIIBCに代わって運営し、自社の社員や学生に受けさせるTOEICテストです。
企業や大学のニーズに応じて、随時行われます。
IPは、Institutional Program(団体特別受験制度)の意味です。
では、問題が再利用されるシチュエーション2パターンについて、少し詳しく見ていきます。
1.次回以降のTOEIC公開テストに数問混ぜて出題される
TOEICでは、同じ実力の人が何回テストを受けても同じスコアが出るように、スコアを調整しています。
(そのため、正答率がそのままスコアにはなりません。)
一度テストに出した問題をごく一部、新しいテストにも混ぜることで、各回のテストの難易度を比べ、スコアを調整しているのです。
(参考:IIBC公式サイト「TOEICプログラムはどのように作られるか」)
2.TOEIC IPテストで再利用される
TOEIC IPテストに使われる問題は、過去に公開テストで使用されたものです。
(参考:IIBC公式サイトよくある質問)


まるまる再利用するから、過去問を公開するわけにはいかないんだね。
代わりに、TOEICを開催するIIBCが公式問題集を出しています。
本番のTOEICと同じ手順を踏んで作成されていて、ナレーターも本番と同じですので、
本番と同じ雰囲気・難易度を味わいたいなら、公式問題集がベストです。
(最新版は2021年10月に発売された公式TOEIC Listening & Reading 問題集8です。)
個人的には、公式問題集は、問題集を作成する英語教師や、外国語教育機関の研究のために出版されていると思っています。
問題集を作成する側は、当然、公式問題集の内容も参考にしていますので、
公式以外の問題集でも、すばらしいものはあります。
むしろスコアアップに特化して書かれた非公式の問題集の方が、受験者のニーズに合っている場合もあります。
おすすめ問題集はこちらの記事の3ステップ勉強法の中で紹介しています。
TOEICの問題の形式
・TOEICは、マークシート式のテストです。
・ほとんどが4択で、PART 2のみ3択です。
・英語を日本語に訳したり、日本語を英訳する問題は出ません。
・PART 1~7まであり、それぞれ以下のようになっています。
リスニング | 合計 | 時間合計 | ||
Part 1 | 写真描写問題 | 6問 | 100問 | 約45分 |
Part 2 | 応答問題 | 25問 | ||
Part 3 | 会話問題 | 39問 | ||
Part 4 | 説明文問題 | 30問 |
リーディング | 合計 | 時間合計 | ||
Part 5 | 短文穴埋め問題 | 30問 | 100問 | 75分 |
Part 6 | 長文穴埋め問題 | 16問 | ||
Part 7 | 読解問題 | 54問 |
各PARTの例題は、こちらの記事に詳しく書いています。



2016年4月以前は形式が違っていましたので、問題集を買うときには、2016年5月以降の新形式に対応しているか確認が必要です。
新形式と旧形式の一番簡単な見分け方は、PART 1の写真描写問題の問題の数です。
旧形式では10問だったのが、新形式では6問に変わりました。
TOEIC受験の値段と割引(2021年10月~値上げ)
TOEIC公開テストの価格と割引
2021年9月12日(276, 277回)の公開テストまでの受験料
<TOEIC公開テストの受験料>
6,490円(税込)
<1年後のリピート割引の受験料>
5,846円(税込)
約10%お得になります。
2021年10月3日(278, 279回)の公開テスト以降の受験料
2021年10月の公開テスト(278、279回)から値上げとなります。
<TOEIC公開テストの受験料>
6,490円 → 7,810円(税込)
<1年後のリピート割引の受験料>
5,846円 → 7,150円(税込)
リピート割引の条件は以下の2つです。
- 2回とも、IIBCの公式サイトTOEIC SQUAREからテスト受験を申し込むこと
- 1回目の公開テストの受験月の1年後に当たる月から3か月以内の公開テストを受験すること
例えば、2020年9月に公開テストを受験すると、2021年9~11月の公開テストのいずれか1回がリピート割引の対象になります。
(ソース:IIBC公式サイト)
TOEIC IPテストの値段
会社や大学がTOEIC IPテストを開催する場合の受験料は以下のとおりです。
4,230円(税込)
IPテストはリピート割引の対象にはなりません。
TOEICは簡単?
英検に比べると、TOEICはListening & Readingしか問われず、すべてマークシート式なので、簡単ともいえます。
英検は、英作文や面接があるため、より総合的な英語力が必要で、ごまかしがききません。
ただし、TOEICは、圧倒的に時間が足りない中で、たくさんの問題を処理する能力が問われます。
そのため、TOEICでハイスコアを取るためには、テスト用のテクニックも欠かせません。
攻略テクニックについては、こちらの記事で解説しています。



TOEICは世界で通用するのか?
TOEICは、英語圏の企業では、採用に使うことはほぼありません。
そのような企業では、TOEIC700点、800点といった小刻みな数値は必要なく、
ビジネスレベルの英語力を持つことが採用の前提だからです。
また、英語圏の採用担当者は英語が話せますので、TOEICがなくても、少しインタビューすれば、相手の英語力を見抜くことができます。
ヨーロッパでは、CEFR(セファール、ヨーロッパ言語共通参照枠)という外国語の習得レベルを示す指標の方が有名で、TOEICはまだ普及途上です。
しかし、フランスにおいては、エールフランスやミシュランがTOEICを利用していることから、知名度があるようです。
TOEICが、もっとも利用されているのはアジアであり、特に日本と韓国においては有名です。
もともとTOEICは日本人が提案し、アメリカのテスト問題作成機関(Educational Testing Service)に依頼して開発したものなので、日本で最も普及が進んでいるのは当然ともいえます。
なぜ日本企業はTOEICが好きなのか?
日本企業で海外展開している会社は、ほぼ100%、TOEICのスコアを採用、昇進、海外派遣に利用しています。
IIBCの公式サイトをみると、伊藤忠、ヤフー、楽天、アクセンチュア、野村総研、KDDI、NTT、パナソニック、ソニー、クラレ、花王、カゴメ、キリン、キャノン、トヨタ、ニトリ、JR東日本、JAL、ANA、電通などがTOEICを利用していることがわかります。
日本企業がTOEICが好きな理由は、3つあります。
1.受験者が多く、信頼性がある
2.細かい数値でスコアがでるので、人を選別するのに便利
3.評価者が英語を話せなくても選別できる
1.TOEICは受験者が多く、信頼性がある
日本での2018年のTOEIC の受験者は240万人を超えています。
2018年に限らず、2011年以降、毎年200万人以上がTOEICを受けています。
人数が多いほど、スコアの信頼性は増すため、企業側としてもTOEICを使いやすい土壌ができているのです。
2.細かい数値でスコアがでるので、人を選別するのに便利
残念ながら、日本において英語は人を選別するための道具として使われています。
TOEICは細かい数値でスコアが出るので、人を選別するのに使い勝手がいいです。
たとえば、TOEICのスコアが600点のAさん、700点のBさんがいて、TOEIC以外は同じスペックだとすると、
人事部はTOEICが700点のBさんを採用するという決断が簡単にできます。
もしこれが英検だとすると、二人とも英検2級相当の実力なので、どっちを選ぶのか迷ってしまいます。
なので、人事(会社)側のニーズにマッチしているのがTOEICなのです。
余談ですが、なぜこんなに英語で苦労しないといけないんだ、と思ったら「節英のすすめ」という本がおすすめです。
ドイツ人・日本人ハーフの言語学者の方が書いている本です。
・日本の公用語は英語になっていたかもしれなかった
・電車の中吊りの英会話スクールの広告は、脱毛サロンの広告と手法が同じ
・ワシントンポストを読んでも、国際的な視点はわからない
・英語が国際的に使われることによって、アメリカ・イギリスが儲かる
・国際語としての英語は、ネイティブ英語とは違う
少し耳が痛いですが、目からうろこな話がかかれています。
英語が得意な人にも、ぜひ読んでほしい本です。
3.評価者が英語を話せなくても選別できる
これをいうと怒られそうですが、
日本企業がTOEICを好きな最大の理由は、
評価者が英語を話せなくても志望者を選別できるからです。
いくら日本企業の海外進出が進んでいるといっても、全員が英語を話せるとは限りません。
英語で面接する代わりに(または時間を節約するために)
TOEICを英語力の指標として使っているというのが真実です。
というわけで、日本企業で仕事をするなら、TOEICは避けては通れません。
しかし、TOEICはマークシート式のテストだからこそ、
対策次第では実際の英語力以上のスコアを得ることも可能です。
TOEICの勉強以外のテクニックについてはこちらにまとめています。



TOEICの3ステップ勉強法についてはこちらからどうぞ。TOEIC勉強の本質なので、この記事どおりに対策するのが一番早いです。



TOEICのリスニングパートの強化法についてはこちらです。



TOEICの練習問題が無料で解けるサイトはこちらです。



TOEICの腕試しをしてみたいなら、オンラインのミニ模試が便利です。こちらも無料です。



コメント